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多田 栄介; 吉田 清; 柴沼 清; 秋場 真人; 奥村 義和
核融合研究, 68(3), p.249 - 267, 1992/09
原研では、核融合実験炉の研究開発を進めており、国際熱核融合実験炉(ITER)計画については、日本、欧州(EC)、米国及びソ連の4極協力で既に概念設計を終了している。また、主要な工学分野における技術開発も進展し、工学的規模での技術実証を目的とした工学設計段階を近々開始する予定となっている。本件では、ITERに関連して実施している技術開発の中、超電導コイル、プラズマ対向機器、中性粒子入射及び遠隔保守機器を取り上げ、それらの開発課題及びこれまでの主要な成果について報告する。
西谷 健夫
核融合研究, 68(1), p.5 - 17, 1992/07
大型トカマクにおける中性子発生率測定の現状を解説したものである。大型トカマク装置では、いずれもフィッションチェンバーによって中性子発生率を測定しており、その較正方法としては、Cf中性子源を真空容器内でスキャンする方法が共通に行なわれている。JT-60Uでは、パルス計数モードとキャンベルモードを併用したフィッションチェンバーにより、広いダイナミックレジと速い時間応答性を有した中性子発生率測定装置を開発し、Cf中性子源を使用した較正によって、11%の測定精度を得ている。
田中 茂
核融合研究, 67(5), p.399 - 411, 1992/05
核融合技術の工業的応用を目的として、大面積、大電流、一様分布のイオンビームを生成する技術について解説する。まず、核融合分野において開発された多極磁場イオン源の構造およびその特徴について概説する。次に、多極磁場イオン源より各種ガス元素のイオンビームを引き出した実験結果について紹介し、最後に一様なビーム分布を実現するための技術を実験結果を用いて説明する。
三浦 幸俊; 玉井 広史; 鈴木 紀男; 森 雅博; 松田 俊明; 前田 彦祐; 滝塚 知典; 伊藤 早苗*; 伊藤 公孝
核融合研究, 67(4), p.352 - 360, 1992/04
JFT-2Mのシングルパラメータスキャン実験(P,I,B等)をベースにし、ITER H-モードデータベースにおけるD形オープンダイバータプラズマ(JFT,DIII-D,JFT-2M)のプラズマ閉込めエネルギー(Wth)をWth=Wo+TincPinの形に書く、オフセットリニア則を導出した(ITER90H-O)。このスケーリング則は、誤差の点で(RMSE)パワー則とほぼ同様である。また、円形クローズドダイバータASDEX、クローズからオープンまでバリエーションのあるPDX、ビーン形状オープンのPBX-Mのデータと比較することでクローズドダイバータのHモード閉込めはオープンダイバータより良く、正のK依存性を持つであろうという結果を得た。
柴沼 清; 大楽 正幸
核融合研究, 66(6), p.682 - 699, 1991/12
水素ガス排気用JT-60NBIクライオポンプを改造し、ヘリウムガス排気用大容量クライオソープションポンプを開発するために、まず、ヘリウムガスの吸着媒としてSFガス凝縮層を使用した小型クライオソープションポンプを用いて、ヘリウムガス排気に関する基礎特性の取得を行った。次に、これらの実験結果を基に、NBIクライオソープションポンプを構成する6個のモジュール各々について、各モジュール前面の圧力を考慮して各排気面のヘリウムガスに対する有効吸着係数を決定し、モンテカルロ法にてNBI真空容器内の圧力を求めるための計算を行った。その結果、解析結果は実験結果と比較的良い一致を示した。これにより、ヘリウム排気用大容量クライオソープションポンプを開発するためのヘリウムガスに対する排気特性評価手法を確立することができた。
牛草 健吉
核融合研究, 66(6), p.663 - 681, 1991/12
トカマクの定常化研究の観点から、非誘導電流駆動研究の現状をまとめた。現在までの非誘導電流駆動実験の進展、達成領域等を簡単にまとめ、特に最も研究が進んでいる低域混成波電流駆動実験から今後の炉心プラズマ定常化研究における問題点、課題点を示し、それらに関する現在の研究結果をまとめた。最後に今後予定されている定常化研究を示し、我が国が今後ともトカマクの定常化研究において世界のレーダーシップを発揮する必要があると強調した。
安積 正史; 若谷 誠宏*
核融合研究, 66(5), p.494 - 524, 1991/11
トロイダル・プラズマにおける巨視的及び微視的不安定性の基本的性質について述べる。巨視的不安定性はプラズマの磁場エネルギー及び内部エネルギーを自由エネルギーとして成長する。各閉じ込め装置における不安定性は、磁力線の曲率及び回転変換角によって特徴づけられる。トカマクではバルーニング的性質が、又、ヘリカル系やピンチ系では交換型的性質が重要となる。有限電気抵抗や高エネルギー・イオンによる巨視的モードの不安定化についても駆動機構を明らかにする。ドリフト波不安定性もトロイダル・プラズマでは新しい性質を示す。バルーニング効果による局所井戸の形成は磁気シヤー安定化効果を無効にする事が示される。具体的に不安定性として捕捉電子不安定性とイオン温度勾配不安定性について説明する。最後に周辺乱流を解析する為の基本的な定式化について述べる。
木島 滋; R.D.Stambaugh*; 松本 宏; P.Gohil*; M.A.Mahdavi*; T.C.Simonen*
核融合研究, 66(4), p.413 - 433, 1991/10
DIII-Dトカマクにおいて、エネルギー閉込め時間の約100倍に相当する5-10秒の準定常長パルスHモード放電を得た。周辺部崩壊不安定(ELM)によって、粒子閉込めの改善に帰因する密度上昇の抑制される事がこの種の放電にとって本質的である。エネルギー閉じ込めも多少制限を受ける。特筆すべきは、プラズマ中の不純物が除々に減少してゆく場合のあることであり、この作用はプラズマの純度改善という点からも重要である。本論文では、このような放電を得るに至った背景を明らかにし、DIII-DでのHモードの長パルス化の現状をまとめた。
中村 博雄
核融合研究, 66(3), p.326 - 335, 1991/09
本報告は、平成3年4月16日から18日の間、アメリカ合衆国テネシー州がトリンバーグで、オークリッジ国立研究所およびユーリッヒ中央機構プラズマ物理研究所の共催により開催された、ヘリウムの輸送と排気に関するワークショップの内容について述べたものである。JT-60、JET、DIII-D、TEXTOR等のトカマク装置からの参加を含め43人の参加者であった。発表は、概説、実験結果、モデリング、計測および将来計画等にわけられる。JT-60からは、ヘリウムビームによる中心粒子補給を用いた実験結果について発表した。JETからは、Hモード放電の報告があった。DIII-Dトカマクの実験は、これからである。また、米国のプラズマ壁相互作用研究の現状の調査も行なった。DIII-Dではボロンコーティングを計画中であった。酸素不純物対策に重点が移っている。
前田 彦祐; 伊藤 早苗*
核融合研究, 65(4), p.435 - 446, 1991/04
中小型装置の意義、果たすべき役割についてITERの物理R&Dを例にとって概括的に述べた。将来の核融合プラズマではプラズマを横切る単位面積あたりの熱流の大きさが、現在核融合炉心に最も近くまた良い閉じ込めを実現している装置等では全く実験されていない高レベルで、現在の閉じ込め比例則をそのまま外挿できるかどうかは自明でないことを指摘した。核融合プラズマの閉じ込めは、非線形非平衡系における熱や運動量、質量の輸送問題と考えられ、中小型装置における系統的な研究の必要性を指摘した。
岸本 浩
核融合研究, 65(SPECIAL ISSUE), 5 Pages, 1991/03
原研の臨界プラズマ試験装置JT-60は、わが国の第二段階核融合研究開発の中核装置として、昭和50年に計画が発足し、同60年4月の装置完成とともに実験を開始した。以来、装置の整備改良を行いつつ実験を進め、昭和62年9月には、当初の目標領域に到達するとともに、低域混成波によるメガアンペア級の電流駆動等の先駆的な実験研究を進めてきた。JT-60は、平成元年10月、それまで4年半にわたって続けてきた実験を一段落させ、プラズマ電流の大巾な増強によるプラズマ性能の向上を目指す大電流化改造工事に着手した。一方、ITERの概念検討が進められている時期にあたり、JT-60のこれまでの実験研究の成果をとりまとめ、「核融合研究」誌特集号として発行することになった。JT-60実験の全貌を理解し、核融合研究の今後の発展の糧となることを願っている。
永見 正幸
核融合研究, 65(SPECIAL ISSUE), p.7 - 12, 1991/03
JT-60計画の進展について、研究目的、研究成果、及び装置の概要を解説する。1985年に実験開始以降1987年までの研究目的は高パワー加熱での不純物・粒子制御、及び原子力委員会の定めた臨界目標領域の達成であった。1988年から1989年の高性能化実験(1)では分布制御による閉じ込めの改善と定常化開発に重点をおいて研究を進めた。過去5年の実験の間、JT-60の各機器において高性能化が進められた。
二宮 博正; 細金 延幸; 芳野 隆治; 牛草 健吉; 鎌田 裕; 菊池 満; 木村 豊秋; 栗原 研一; 辻 俊二; 内藤 磨; et al.
核融合研究, 65(SPECIAL ISSUE), p.13 - 26, 1991/03
トカマク装置のプラズマ電流、密度、閉じ込め特性、電流駆動領域等の運転領域の拡大は、プラズマ性能の向上のみならず、次期装置等設計に対するデータベースを提供する上からも重要である。JT-60におけるプラズマ電流領域拡大に於いては、ロックドモードが原因で発生するディスラプションによりI=2.4MA程度に制限されるが、中性粒子加熱によりこのモードを安定化できることを明確にした。また密度限界については、プラズマ周辺のパワーバランスで限界が決まっていることを明らかにした。
安東 俊郎; 高津 英幸; 中村 博雄; 山本 正弘; 児玉 幸三; 新井 貴; 神永 敦嗣; 笹島 唯之; 堀池 寛; 清水 正亜; et al.
核融合研究, 65(SPECIAL ISSUE), p.27 - 49, 1991/03
JT-60第一壁の材料挙動および運転経験をまとめた。到達真空圧力は、設計値1.310Paを満足し、高温壁放電洗浄によりコンディショニング効率を改善した。TiC/Moダイバータは、短パルス加熱(20MW-1s)では良好な不純物制御特性を示したが、ダイバータ板端部の溶融やMoのバーストが観測された。第一壁を黒鉛に取替え後は、長パルス加熱運転が可能となり、最大加熱入力30MW、最長加熱時間6sを達成し、運転領域の大幅な拡大をもたらしたが、TiC/Mo第一壁と同様に、ディスラプション時の入熱による損傷は避けられなかった。その後の下側ダイバータ運転では、それまでの運転経験を反映し、第一壁取付け精度の向上、熱集中軽減、C/C材の使用などによって、黒鉛タイルの破損をほぼ完全に防止することができ、1ショットあたりのプラズマ吸収加熱量が100MJの運転を行うことができた。
菊池 満; 内藤 磨; 吉田 英俊; 辻 俊二; 細金 延幸
核融合研究, 65(SPECIAL ISSUE), p.51 - 73, 1991/03
JT-60トカマクのエネルギー閉じ込め特性をまとめ、新しい知見について述べたものである。最大閉じ込め時間は500msに達し、最大蓄積エネルギーは3MJになった。イオンのエネルギー閉じ込めはジュールプラズマ追加熱プラズマともかなり異常(新古典閉じ込めよりかなり悪い)である。下側ダイバータ配位の核融合積はJETの4倍良くLモードの閉じ込め特性はGoldston則やITERパワー則と矛盾せず、アスペクト比とともに改善される。
平山 俊雄; 菊池 満; 白井 浩; 清水 勝宏; 矢木 雅敏; 小出 芳彦
核融合研究, 65(SPECIAL ISSUE), p.75 - 97, 1991/03
JT-60のL-モード、及び高イオン温度モードプラズマについて熱輸送解析を行い、以下の点を明らかにした:1)加熱パワーの増大に伴う閉じ込めの低下は、イオン熱輸送特性の劣化による。Iの増加によるLモードプラズマの改善は、電子、及びイオンの閉じ込めの改善による。2)高イオン温度モードでは、プラズマ中心領域のイオン熱輸送が改善された事による(/~10/=1~2)。3)イオン異常輸送の物理モデルとして、イオン温度勾配不安定性に基づく輸送理論モデルを広範な実験データと比較し、良い一致を示すことが確認された。
今井 剛; 牛草 健吉; 池田 佳隆; 内藤 磨; 吉田 英俊; 関 正美; 伊丹 潔; 永島 圭介; 上原 和也; 永島 孝
核融合研究, 65(SPECIAL ISSUE), p.99 - 118, 1991/03
低域混成波帯(LHRF)の電流駆動実験を行い、2MA、3秒の非誘導電流駆動、最大電流駆動積(ne・R・I)~12.510mMAを実現した。ダイバータ配位が、ホットスポットを抑制するのに有効である。電流駆動効率を改善するには、高Te、低有効電荷数が良いことがわかるとともに、マルチジャンクション型の結合系を用いることにより、磁場方向の屈折率(N)のスペクトルを最適化することが有効であることを実験的に示し、通常の電流駆動用結合系に比し、30~40%の改善を達成するとともに、最大3.410mA/Wの電流駆動効率を実現した。低域混成波電流駆動により電流分布制御、及び、鋸歯状振動の抑制が可能であること、また、電流立上げ時の磁束節約が可能であることを、明らかにした。
今井 剛; 牛草 健吉; 池田 佳隆; 内藤 磨; 吉田 英俊; 関 正美; 根本 正博; 佐藤 正泰; 小出 芳彦; 上原 和也; et al.
核融合研究, 65(SPECIAL ISSUE), p.119 - 132, 1991/03
低域混成波帯の高周波を、トカマクの種々のパラメータ領域の加熱に応用し、電子加熱(LHEH)、イオン加熱(LHIH)、そして、中性粒子ビーム(NB)との同時加熱(NB+LH)の全てにおいて、良好な加熱結果が得られた。高プラズマ電流化と、ペレット入射との組合わせが、表面でのパラメトリック不安定性を、抑制できた。6keVの電子温度が、LHEH領域で、又、核融合積~110mkeVsが、ペレット+LHで得られた。NB+LHでは、ビーム加速による閉じ込めの改善や、波のトカマクの中での伝搬に関する知見を得ることができた。
木村 晴行; 藤井 常幸; 三枝 幹雄; 森山 伸一; 濱松 清隆; 飛田 健次; 根本 正博; 草間 義紀; 佐藤 正泰; 山極 満
核融合研究, 65(SPECIAL ISSUE), p.133 - 161, 1991/03
JT-60において、これまでに行われたICRF実験の主要結果をまとめたものである。JT-60ICRF実験は、他の大型装置でのICRF加熱とは異なる第2次共鳴及び第3次共鳴ICRF加熱を行なった。その結果、これらの高次共鳴ICRF加熱が、大型装置で大いに有効であることを示した。特に、少数イオン第2次共鳴の加熱効率は極めて高く、次のJT-60Uでの有力な加熱として適用できることを実証した。さらに、ICRF加熱による巨大鋸歯状振動や高エネルギーイオンの選択加熱(ビーム加速)等によりエネルギー閉込めが改善されることを明らかにした。一方、ICRF加熱装置の工学的な研究にも関連する結合特性、放射損失、パラメトリック不安定性等についての知見を得た。これより、アンテナ電流の位相制御が重要であることを明らかにした。
芳野 隆治; 鎌田 裕; 清水 勝宏; 小関 隆久; 平山 俊雄; 杉江 達夫; 西谷 健夫
核融合研究, 65(SPECIAL ISSUE), p.163 - 183, 1991/03
JT-60では、リミター配位の放電領域を拡大し(3.1MA、23MWの高パワー中性粒子入射加熱)、水素ペレット入射実験を実施した。ペレット入射条件を調整した結果粒子の強い掃き出しをともなう鋸歯状振動を長時間(最高1秒)の間抑制するとともに、密度分布がピークしたプラズマを実現した。この時、ガス注入プラズマに比べて、最大30%の閉じ込め改善を得た。シミュレーション解析の結果、閉じ込め改善は、鋸歯状振動抑制により、q=1面内の低い粒子拡散係数の効果が、顕在化した事による事が明らかになった。閉じ込め改善に寄与しているのは、主にq=1面内の蓄積エネルギーの増大である。しかし、加熱パワーがある程度高くなると、q=1面内の蓄積エネルギーが飽和する現象が見られた。そこで、ペレット入射プラズマの急峻化した圧力分布に対して、MHD解析を行なった。